田園2015年3月号 巻頭言
田園2015年3月号 巻頭言 信頼に応える「アーメン」
助任司祭 アウグストヌス桑田拓治神父
先月二月一日に、東京教区「中高生の集い」が田園調布教会を会場として行われました。東京教区十三小教区から中高生六十三名、リーダー三十三名が当教会にやってきました。信徒会館やホールを自由に使用させてもらえたこと、美味しいカレーを準備して下さったことなど、中高生とリーダーたちは本当に喜んでくれました。この規模の集いを受け入れることが出来る小教区の数は東京教区でも限られており、快く受け入れて下さった田園調布教会の皆様に感謝します。
青少年司牧と要理教育を考えるとき、小教区単独では人が集まらないため中高生会の存続が難しい教会が多数ある中、今回のような「中高生の集い」を通して多くの仲間たちと出会い、信仰を分かち合える機会は非常に貴重なものだったと思います。
「中高生の集い」は二〇〇〇年から年二回(冬は分かち合、秋はスポーツ大会)行われてきたプログラムです。「集い」の特徴は、司祭が主導するのではなく、リーダーたちが主体となって行われる点だと思います。
今回私も初めて参加しましたが、リーダーたちがそれぞれ生活班、プログラム班、典礼班に分かれて主体的に運営する姿は本当に頼もしく、日本の教会の未来に希望を感じさせてくれるものでした。その中でもプログラム班のリーダーたちは何回もミーティングを行い、自分たちが中高生たちに何を伝えたいのか分かち合い、今回の「愛と信頼」をテーマとしたプログラムを練り上げていきました。
午前中の体を動かすプログラムではトランスフォームが行われました。最初は二組で、一人が後ろに倒れるのをもう一人が手で支えるもので、まずは十cmの距離から行い、三十cmまで離れていきます。 こうして支えてもらえる信頼感を確認したら次に班で行います。班のメンパーが向かい合わせに互いの手を交互に伸ばしたところに一人のメンバーが後ろ向きに倒れ、四五度の角度で受け止めるものです。
このとき怖がってひざを曲げたり、おしりを落としたりしてしまうと、倒れる人の体重が一点にかかるため上手に受け止めることが出来なくなります。
大切なのは、仲間を信頼して体の力を抜いて体を真っ直ぐにして倒れることです。
「三、二、一」のかけ声に合わせて、受け止めるメンバーは「アーメン」と大きな声を出して倒れる人を受け止めていました。最後はステージの高さから水平の状態まで倒れて受け止めてもらいます。
私も参加しましたが、背中にみんなの手を感じるまでの最後の十五cmほどはちょっと恐かったですね。
このあと午後のプログラムは分かち合いで、喜び、愛された体験を分かち合い、次にその分かち合いに基づいて「イエス様に喜んでもらうために」自分たちは何か出来るかを考えました。
最後にミサを共に捧げ、その奉納の中で自分たちが考えた『イエス様に喜んでもらうために」を捧げました。
この御ミサの中で私に一つの大きな気づきがありました。それは聖体拝領の時、「キリストの御体」「アーメン」と拝領が進んでいく中で、午前中のトランスフォームの場面が心に浮かんだのです。
それは、まさに聖体拝領とはイエス様の私たちへのトランスフォームに他ならないという気づきでした。
このイエス様から私たちへの信頼はすごいことだと思います。
はたして、私たちはこのイエスの信頼に「アーメン」と応え、真摯に受け止められているでしょうか。
仲間を支えるために真剣に手を仲ばしたように、伸ばせているでしょうか。
日毎、御聖体のうちにまでへりくだり、私たちにご自身を与えようとしておられるイエスの信頼に応える『アーメン」が教会に響き渡ることこそ「イエス様に喜んでもらうために」私たちが出来る最初の一歩なのかもしれません。
今回の集いに参加して、教えることより、教わることの多さに感謝しています。