田園7月号 巻頭言

『がんばろう日本』

 

フランシスコ会司祭 ヴィアンネ南雲正晴神父

 

南雲神父さまは六本木修道院所属の司祭で、当教会でも典礼の勉強会を開催していただいております。

 

東北の大震災からすでに二年が過ぎました。でも未だ現実に目を向ければ多くのがれきは残り、仮設住宅での生活に甘んじ、故郷を失った人々の悲しみは深く、行方の分からない人々も多くさんおります。

頑張ろう日本の標語は今も多くのところで目にすることができますが、大震災がもたらした災害の影響は目にすることができる表面上の問題だけではないはずです。むしろ人々の心に与えた傷こそ、それが癒されるのには大変な時間がかかるでしょう。

この災害をきっかけにして私たちは『絆』という言葉を強く意識させられました。これは今も変わらないはずです。

今、何か自分にできるのか、何をしなければならないのか、思うばかりではなく、たとえ小さなことでも、自分にできることを続けたいものです。

 

ところで教会の暦は私たちの信仰の中心にある復活節をもって終わり、年間の典礼に戻りました。この復活祭に入信の秘跡によってキリスト者として新たに教会共同体に加えられた人々がいることでしょう。

神の恵みによって新らたな仲間が加えられたことは大きな喜びです。徹夜祭の中で洗礼式が行われたことは、ここ何年か経験がないという教会も多いのです。

 

両親は授かった小さい命の傍らにあって養い育てるように、共同体は彼らの信仰を育てる責任があります。特に新信徒に対してこの義務を持っているのがその代父母です。彼らを見守るばかりではなく、何よりも自分たちが信仰の模範を示さなければならないでしよう。

使徒ヤコブは、行いの伴わない信仰はなく、また信仰の伴わない行いもない、と言っています。(ヤコブ2・18〜23)しかし、子どもの命はやがて両親の手から離れ、他者との関わりの中で成長します。

信仰の成長には共同体の助けも必要なのです。信仰は個人の満足や信心のためにあるのではありません。自分も共同体のために生きる責任があります。人間の体が多くの部分から成り立つように、教会もまた一つの体なのですから。(Iコリントー2・12〜27)

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