田園2025年10月号 巻頭言

田園2025年10月号 巻頭言

年の終わりに向かう霊的歩み

助任司祭 アントニオ金東炫神

 

秋の訪れとともに、自然が静かにその彩りを変えてゆくこの季節、私たちは教会の守護聖人、アシジの聖フランシスコの記念日を迎えます。

今年は特に、彼が被造物を通して神への賛美をささげた「Canticum Fratris Solis(太陽の賛歌)」から800年となる記念の年で、フランシスコ会にとって、また私たちの共同体にとっても、深い意味を持つ特別な時です。

聖フランシスコは、すべての被造物を「兄弟」「姉妹」と呼び、神の創造の業に対する深い敬意と感謝をもって生きました。彼の祈りは、単なる言葉ではなく、存在そのものが神への賛美であり、隣人への愛の表れでした。

この記念の時に、私たちもその聖フランシスコの霊性に倣い、身の回りの小さな命や日々の恵みに目を向け、感謝の心を新たにしたいと願います。

10月はまた、ロザリオの月でもあります。聖母マリアとともに主の生涯を黙想し、祈りのうちに平和と癒しを願いましょう。

ロザリオの祈りは、私たちの心を静め、神との親しい交わりへと導いてくれます。とりわけ世界が不安と分断に揺れる今、ロザリオの祈りは希望の灯りとなることでしょう。

さらに、教会の伝統において11月は「死者の月」と呼ばれ、亡くなった方々との霊的交わりを深めていきます。

聖フランシスコが「姉妹である死」と称えたように、私たちも永遠の命への希望を新たにしたいと思います。

このような意味で、この10月は年の終わりに向けて、信仰を見つめ直す大切な時期といえるでしょう。

10月、聖母マリアと聖フランシスコと共に捧げる祈りと黙想が、やがて来る主の降誕という喜びの時への準備となりますように私たちの信仰を深めるこの歩みを共に始めましょう。

神の祝福がすべての被造物に豊かにありますように。

 

※ 「田園」2025年10月号はこちらからご覧ください。

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