田園2023年10月号 巻頭言
田園2023年10月号 巻頭言
「燃える心、踏み出す足」
「世界宣教月間」と「世界宣教の日(10/22)」にあたって
助任司祭 アントニオ金東炫 神父
田園調布教会にとって特別な意味のある10月が始まりました。
10月はあらゆるものが豊かになる時と言えますが、特に母マリアと共にイエス・キリストの生涯、人類救いの歴史を黙想するロザリオの月とすべての被造物を兄弟として受け入れて福音の普遍的性格をこの世に示した田園調布教会の守護の聖人、アッシジの聖フランシスコの天上での誕生を祝う、恵みと喜びがあふれる時であるごとは間違いないと思います。そして全世界の教会は、この月を神の国の福音を広める世界宣教月間として過ごします。
私たちはこの月間を通して神の国を広めるキリスト者固有の使命を再確認します。
キリスト教において宣教とは、単にみ言葉と教義を言葉で伝えることだけでなく、「隣人を自分のように愛する」隣人愛の実践によって神の国をこの世に示すことです。
2023年「世界宣教月間」「世界宣教の日」のテーマは「燃える心、踏み出す足」です。
このテーマについて教皇フランシスコは、ルカ福音24・13-35のエマオに向かう二人の弟子たちの物語から、混乱と失意のうちにいる二人の弟子が、復活されたイエス・キリストと共に旅する間に起こった三つの変化を黙想するよう勧めています。
弟子たちの宣教の旅の輪郭をあらわすこの三つの姿「イエスが聖書を説明してくださったことで燃える心、イエスだと気づくよう開かれた目、そしてきわめつけの踏み出す足」を黙想することによって「現代世界においての福音宣教の熱意を新たに」することができると述べました。
・「聖書を説明してくださったとき」の燃える心は宣教活動において、神のことばは心を照らし変えてくださるという信仰を、
・パンが裂かれると、目が「開け、イエスだと分かった」ということは聖体におられるイエスは、宣教活動の頂点であり源泉であることを、
・復活されたキリストを語る喜びを胸に、踏み出す足は、いつも外へと出て行く教会の永遠の若さをあらわします。
このように、復活されたイエス・キリストとの出会いに照らされて燃える心で、開いた目で、踏み出す足で、主キリストの生涯とその愛を喜びにあふれて物語ることは神が人類にお与えになった平和と救いの道に、すべての人を招く行為であり、まことの福音宣教と言えます。
また、宣教活動は異文化との交流でもあります。他の文化や宗教を尊重し、共感し合うことで神がお示しになった平和への道が築かれます。
あらゆる面で豊かに満たされるこの10月、私たちの母マリアに導かれ、アッシジの聖フランシスコのとりつぎのうちに、ひとり一人の祈りを通して神の国がこの世界にあらわれるように共に歩んで行きましょう。
母マリア、私たちと共に祈ってください。
兄弟フランシスコ、私たちのために祈ってください。
※ 「田園」2023年10月号はこちらからご覧ください。