田園2020年2月号 巻頭言

田園2020年2月号 巻頭言

 

人生やり直せるか

主任司祭 ドミニコ竹内正美神父

 

戻りたい「あの日」があるとしたら。

誰にでも「あの日だった」と思い当たることかあるのではないでしょうか。やり直せるものなら、そこから人生をもう一度やり直したいと考えたことはありませんか。

「あの日」起こったことが人それぞれの記憶の中に鮮明に刻まれているはずです。順風満帆な人生に突然降って沸いたようなあの日。夢と希望が断たれたあの日。どうしてあの時、彼に、彼女に傷つくような言葉を言ってしまったのか。そのため、人間間係が疎遠になってしまった。どうしてあの時、わかるまで勉強しなかったのだろう。

今になってこんな苦労するとは。どうしてあの時、年老いた両親をいたわってやれなかったのか。あの時、友人の忠告に耳を傾けていたら失敗しなかったかもしれないのに。時間よ、元に戻れ。「あの日」から人生をやり直したいと思ったとしても、残念ながらあの日に戻ることは不可能です。しかし、人は人生の途上で幾度となく本心に立ち返る術をもっています。自分が的外れであったことに気付いた時に、自分を取り戻すものです。

放蕩息子のたとえ話を思い出します。放蕩の限りを尽くし、財産を無駄使いしてしまった彼は我に返って言います。「お父さん、わたしは天に対しても、あなたに対しても罪を犯しました。もうあなたの子と呼ばれる資格はありません。どうかあなたの雇い人の一人にしてください」(ルカ15章18)。

イエスは「息子は本心に立ち返って」と言います。
人が神から離れ、神に逆らっている間は本当の自分からも離れているのです。立ち返るときに初めて本当の自分を見出すのです。

三度、主を否んだペトロにとっても同じことが言えるのではないでしょうか。「そんな人は知らない」と否定したペトロは「あの日」から人生をもう一度やり直したいと思ったことでしょう。『鶏が鳴く前に、あなたは三度わたしを知らないと言うであろう』とイエスが言われたことを思い出し、外に出て激しく泣いた」(マタイ26章75)。

放蕩息子にしろ、ペトロにしろ「あの日」をきっかけに人生をやり直しすることができることを聖書はわたしたちに解き明かしています。それは悔い改めて神に赦しを願うことによって、もう一度自分の人生をやり直すことができるのです。一度となく、何度も何度も人生のやり直しを通して神に近づいてゆく、これが人間の姿かもしれません。

今年は2月26日に灰の水曜日となり、四旬節が始まります。

四旬節は父である神への立ち返り「回心」の時です。主のご受難、ご死去、ご復活を黙想しながら、主が私たちの罪を蹟ってくださった愛に応えて回心の道に励みましょう。

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